日常#2 Vol.5
前回紹介したように、日本人の美徳の一つとして「もったいない」という概念がある。
そのことを雄弁に物語っているものの一つとしては、世界最古の木造建築として知られる「法隆寺西院の伽藍」である。
時代背景を簡略的に述べると、飛鳥時代となり、国を治めるために中国(当時は隋)から仏教を輸入し、利用していた。聖徳太子は、管理統制には中国のヒエラルキーシステム、道徳教育を用いた上下関係が都合よいととらえ、積極的に仏教文化を取り入れた。
ふと疑問に思う、中国から輸入したのであれば、中国にルーツがあって最古の木造建築があってよいのではないかということを。中国の現政権共産党に、1966年から1977年まで続いた「文化大革命」によるところが多いのではないかと思う。仏教と雄大な国土に恵まれた中国は、多様な文化を創生してきたにもかかわらず、政治が文化活動に介入し、弾圧を行ったようだ。詳細は知らないのだが、確実にその期間による取り壊しが進んだことは間違いない。
同じようにイスラム国はイラク北部のモスル博物館に収蔵される数千年前の彫像を破壊したことでも知られる。このような手法は(良し悪しにかかわらず)新たなイデオロギーの台頭が背景にみられる。
それでは、法隆寺に目を再び目を向けなおしたいと思う。607年に創建したといわれているのだが、いかにして約1300年もの歴史を紡いできたのか。(現在目にしているのは、大化改新以降に再建されたものといわれている。)それは、木造建築の部材をところどころ取り換えて修理しては現在に至るまで姿を変えることなく継承してきているのだ。当時の部材として知られるのは、スカイツリーの技術にも応用された心柱という中心軸を貫く柱材のみであるが、それでいても自然災害の多い日本で風雨にさらされながらも今に至るのは大変見事なことだといえる。
このように、日本では古来より何か不具合が起こると、修繕してまでも使っていこうという意識がみられる。割れた陶磁器などを修繕しようとする「金継ぎ」などもその精神の表れだと思う。
これらを「もったいない」精神と自分は勝手に呼んでいるのだが、この文化を未来に伝えていくような仕事をしたいと個人的に考えている。
次回はまた今回の続きで、自分が実際に行ったものを大事にする行動を紹介しようと思う。